Agathaによる治験業務基盤の
プラットフォーム化と業務プロセスの
標準化で実現する、病院のSDGs

概要

日本医科大学様では治験環境改善プロジェクトの一環として、2021年1月より文京区千駄木の日本医科大学付属病院の院内IRBでAgatha IRBの運用を開始しています。
現在、付属病院の他、武蔵小杉病院、千葉北総病院、多摩永山病院の計4病院でAgatha IRBをご利用いただいています。(2022年5月、インタビュー実施当時)
この治験環境改善プロジェクトの旗振り役である松山先生は「今は、電子になったっていう状態でしかない。これを『どう運用するか』という段階にするために事務局の教育も必要。CRCが『ここ見れば最新版があるという状態で治験ができるって、なんて素敵なことなんだ!』って思ってくれないと、そうはならないと思う。」と仰いました。
現在も進行中であるこの治験環境改善プロジェクトを今後どのように進めていくのか、またAgathaに対してどのようなことを期待しているのか、学校法人日本医科大学研究統括センター臨床研究部門の皆さまにお話を聞かせていただきました。

Highlight

☑本当の意味でのDXを実現するためにはAgathaを導入するだけでなく、業務の標準化とセットで考えることが大切
☑Central IRB化によってIRB事務局の人材のスリム化、治験のリードタイムの短縮を実現
☑治験コストをフェアに医療機関に落としてもらい、それを患者さんのケアに還元する病院としてのSDGsを目指す

【学校法人日本医科大学研究統括センター】

所在地: 東京都文京区千駄木1-1-5 学校法人日本医科大学内

従業員: 事務室 事務員 12名

会社概要URL: https://www.nms.ac.jp/csri/

お客様インタビュー

「自由度が高く、扱いやすい」というのがAgathaの最大のメリット
であり、 「医療機関の業務改善とどう結びつけて利用するか」
と言うところが最大のデメリットでもある

「『手順を標準化する』というところに意味があると思っています。医療機関にAgathaがあるっていう意味が。箱だけあっても進まない。使い方とか、その文書の雛形とかがないと。」(松山先生)

日本医科大学様では、Agatha IRBを導入し、運用を開始してから1年ほどが経過した今、治験におけるDXをさらに加速するために、課題を洗い出し、改善策を検討しているところだと言います。

「理想形は、誰もが理解できるようなファイル・フォルダ命名規則を作り、Agathaに文書を格納すれば、そのまま業務の流れに沿って適切なフォルダの中に文書が格納されていくようなかたちです。」(松山先生)

もちろん、Agatha eTMFをご利用いただくことで、治験必須文書・治験関連文書を、プロジェクト単位で作成・共有・保管するため、業界標準のフォルダ構成が自動作成され、スピーディーに環境を作成することが可能となっています。

「eTMFって依頼者のために作られた構造であって、施設フレンドリーじゃないんですよ。確定ファイルだけを入れるという考え方もあるし・・・ 品質管理の考え方にもよりますが、いつでも最新版に繋がるって言うのが一番良いのですよ。」(松山先生)

システムを導入するだけでは、業務プロセスを改善することはできません。それを「どのように運用するのか」マニュアルを作成し、ファイル・フォルダ構造のテンプレートがあることで、文書の抜け漏れを防ぐことが可能となります。

「Agathaは良くも悪くも自由度が高すぎるんですよ。」(松山先生)

Agathaを導入するだけでなく、業務の標準化とセットで考えることで、本当の意味でのDXを実現することができます。

「依頼者と医療機関が両者で同じ、少なくともお互いが持ってないといけないものがちゃんとあるっていう状態にすることが大事だと思っています。中間状態で誰が何をやっているかのチェックリストなど、サイトのQMS としては必要だと思っています。グローバルで戦っていける施設を作っていくためにも、基盤のプラットフォーム化とそのオペレーションの標準化の両方がいると思う。」(松山先生)

今、日本医科大学様では、「最新版の確定ファイルの保管庫」としてだけAgathaを利用するのではなく、QMSとして、サイト独自の中間状態で発生するワーキングファイルなども含め、最終の成果物に対して抜け漏れが無いか確認できるようなルール作りに取り組まれています。

Central IRB化によるIRB事務局の人材のスリム化、治験のリードタイムの短縮の実現を目指す

「各病院にAgathaがあるって状態ではなく、各病院のワーキングドキュメントとそのCentral IRBっていう対応が出来ていくといいとなぁと思っています。Central IRB化により、治験の審査を一括で受け、一括でスタートできると、 IRB事務局に割いている人材のスリム化ができるし、治験のリードタイムを減らすこともできます。」(松山先生)

従来のやり方ですと、A病院でIRBにかけて、治験をスタートし、次にB病院でIRBにかけて・・・と治験を実施する施設の数に比例して症例収集のリードタイムが長くなってしまいます。
しかし、4病院での同一受託、Central IRB化、そして、契約書雛形の統一、一括審査を実現することで、同じ受託プロセスで、1回IRBにかけてしまえば、どこの施設でも治験をスタートできるようになります。
プロセスが少なくなるのでIRBのモニタリングコストもさがり、依頼者にとっても同時にスタートできることはメリットでしかないはずです

「スケールメリットという部分で、うちの4病院が対象になります。スケールメリットがあるっていうので、依頼者にとっては契約しやすくなると思う。運用の改善とCentral化で無駄なプロセスを減らしていきたい。」(松山先生)

施設をこえて効率的にAgatha IRBを運用していただくために、アガサは、これまでの運用ノウハウをご提供し、日本医大様のCentral IRBの運用に貢献します。

「DX運用費用」として病院側が治験実施コストをフェアバリューコストとして依頼者に請求することができる日も近いと考えています

「リモートでモニタリングや監査対応ができるようになります。だから、三河屋さんみたいに医療機関を訪問するモニターさんが減りますよね。そうすると、オンサイトモニタリングにかかっていた費用を医療機関に落としてもらうよう交渉もできるようになると考えています。ベンチマークでの治験の対応という点においても、デジタル化をしておくメリットはありますよ。」(松山先生)

医療機関でもベンチマーク型コストの導入に向けて準備が進んでいると言います。従来の「ポイント表」に基づく治験コストの算出ではなく、実施計画書が確定された後、同様の治験実施にかかる「実勢価格」に基づき、医療機関への治験費用提案が実施される時代が来ると言います。
日本医科大学様では、既にリモートでのモニタリング・監査についての取り組みを開始しており、スマートフォンやスマートグラスを用いた施設ツアー、Agathaを用いた文書の確認などの実証実験を行い、リモートでも十分に監査への対応をすることができるとの考えに至ったそうです。

「パンデミックだし、こういうようなことに対応できる施設っていうのは選ばれる施設の基準になると思っています。プラットフォームを作り上げることが今一番求められていることであり、このプラットフォームにのっておきさえすれば、『治験が安く、正確に実施できるようになる』っていうようなパッケージ化ができると、いろんなことがやりやすくなると思うんですよ。」(松山先生)

リモートでの対応が可能となることで、モニター業務にかかる時間も短縮されます。そして、従来、モニタリング費用として発生していた費用を施設側が「DX運用費用」として治験運用コストをフェアバリューコストとして依頼者に請求することができる日も近いのではないでしょうか。

「病院こそSDGsを実現するべきと思うんですけど、それをやるためには、やっぱりツールが必要です。こういうプロセス改善をやっていくためには、テクノロジーを持っているところと組まないとダメだと思っているんですよ。」(松山先生)

治験のコストをフェアに医療機関に落としてもらうことで、それを患者さんのケアにきちんとまわしていくSDGsを病院として達成していくことも可能となります。
医療業界でもこれまで以上に本格的なDXの波が起きており、もはや「DXはできて当然」の時代に移行しています。ただ
「DX化しました」ではなく、それを戦略的にどう運用していくのかが重要となります。

「プラットフォームが入れば差別化ができるし、それは私たちにとっての強みになるけど…。日本にたくさんの治験が入ってくるようにするためには、これを現場の業務改善と一緒にできないといけない。そのためのツールの1つとしてAgatahだと思っています。グローバルのスピードに追いついていく、本当の意味でのリスクベースって言うのを実現するためにも、このようなプラットフォームが入ることで業務プロセスの改善に資する部分ってあると思う。物事を複雑には考えてはいなくて、超シンプルにするのが大事だと思ってるんですよ。」(松山先生)

シンプルな業務プロセスに落とすためにも「現場の業務の断捨離が必要」と松山先生は仰いました。
Agathaのようなプラットフォームが入ることで、「業務プロセス見直し=業務の断捨離」の良いきっかけになるのではないでしょうか?
「1つの文書ファイルを探し出すために1時間もかかっている」なんてことはナンセンスです。このような無駄な時間を少しでも削減するために「どこにどんな文書があるのか」誰もが把握できていて、滞りなく業務を進めることができる状態にしておく必要があります。
松山先生とのお話は、病院だけの話にとどまらず、「例えば、承認申請がお互いにとって楽なのか、とか、当局査察に対してどうやっているかとか、そういうこともモデルを作ることで対応できるようになる。モデルがあることで、逆に、CRCがプラットフォームを使ってどういう業務をやっていけばいいのかがわかってくると思う。」と依頼者である企業側の業務プロセスも理解することで、臨床開発業務全体の効率化が図れるとも仰っていました。

「治験って、早くて、安くて終わるって言うのが一番おいしいと思っています。そのためには、日常の臨床にあわせシンプルに配置されたプラットフォームでシンプルな業務の流れで、誰もが理解できるようなにプロセスになっていないと、最終的な承認申請にいくまでに問題が出ると思っています。」(松山先生)

治験の受託、実施、終結の各フェーズでITツールとどのようなかかわりを持つか、業務プロセスの標準化に向けて今後も、アガサは日本医科大学様と共に治験業務のDXに貢献するサービスを作ってまいります。

                                           

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