臨床研究センター配属1年目の副主幹が挑んだ「電磁化」導入プロジェクトとは
大阪市立総合医療センター様

概要
紙資料による管理からの脱却を目指して
大阪市立総合医療センターでは、これまで治験関連文書を紙で保管しており、保管スペースの逼迫や倉庫保管コストの増加など、様々な課題を抱えていました。
臨床研究センターに異動して間もない橋下寛樹先生は、こうした状況を変えるべく、治験文書を電子的に一元管理できるクラウド型システム「Agatha(アガサ)」の導入に踏み切りました。
大阪市立総合医療センター
- 所在地:大阪府大阪市都島区都島本通2-13-22
- 病床数:1,068床
- 特徴:小児がん拠点病院、がんゲノム医療連携病院、感染症指定医療機関
- URL:https://www.osakacity-hp.or.jp/ocgh/
Agatha導入の流れ
2023年1月に臨床研究センターに異動した橋下先生は、同年8月に仮見積とヒアリング資料を準備。9月には翌年度予算に電磁化導入を組み込み、院内承認を取得しました。
その後、SOP整備や近隣施設の見学や入札を経て、12月にAgathaの導入が正式に決定。
翌年1月からシステム構築を開始し、2月末には構築完了。4月から治験審査委員会(IRB)での本格運用がスタートしました。
導入成功のポイント
・病院管理者の理解を得る
予算調書に、紙資料の保管費用や印刷・郵送コストの削減効果を明記。数字に基づく説明により、経営層からの理解と承認を得ました。
・依頼者との調整
紙から電子への移行に伴い、「Agatha利用料」を含む文書保管費用を新設。各治験依頼者の理解を得ながら覚書を締結し、移行をスムーズに進めました。
・現場スタッフの不安を軽減
マニュアル整備や説明会の開催に加え、移行期間中のIRBは紙と電子の併用を実施。IRB委員と運用について意見交換することで混乱を最小限に抑える工夫を行いました。
・ユーザーコミュニティの活用
Agathaアップデートラボ(ユーザーコミュニティ)を通じて、他施設の事例を参考にしながら、自施設に合った運用ルールを構築しました。
導入の効果
- IRB資料の電子化により、印刷・郵送業務が大幅に削減
- 外部倉庫への保管が削減され、コスト削減に直結
- クラウド上で複数職種が同時に作業でき、チーム医療の連携が加速
- IRBはZoom併用のハイブリッド開催に移行し、審査体制の柔軟性が向上
「困った時は、一人で抱え込まず、必ず周囲と共有してください。
病院管理者・依頼者・現場スタッフ・IRB委員、それぞれの立場に合わせた説明と理解の醸成が成功のカギです。
Agatha導入を通じて、当院でも確かな手応えを感じています。導入を目指す皆さまのご参考になれば幸いです。」
—— 臨床研究センター 副主幹 橋下寛樹先生