紙運用からの脱却を機に、治験文書の電子管理を本格導入
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院様

概要
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院様では公益社団法人日本医師会治験促進センターが提供する治験業務支援システム「カット・ドゥ・スクエア」を導入していました。
2023年2月末でのカット・ドゥ・スクエア廃止が決定したことにより、電磁的記録の管理・運用を目的としてAgatha施設文書保管+IRBを導入いただきました。
今回、Agatha導入に至るまでの経緯や導入後の効果について、教育研究・治験センター 臨床研究・治験推進室の伊東様と本間様にお話を聞かせていただきました。
Highlight
- ☑治験業務のペーパーレス化で作業負荷とコストを大幅削減
- ☑文書管理と審査業務の標準化・効率化を実現
- ☑リアルタイムな情報共有で対応スピードが向上
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院
お客様インタビュー
Agatha導入背景
-システムの導入をご検討するきっかけは何かありましたか?
大きな転機となったのはカット・ドゥ・スクエアの廃止でした。
これまでは紙文書を中心に、一部でカット・ドゥ・スクエアを用いた電子的記録の授受を行っていました。
コロナ禍を通じて、紙運用の限界とリスクを痛感。治験文書管理の電子化とIRB審査の効率化の必要性を強く感じ、クラウドシステムの導入を決断しました。(伊東様)
Agatha導入までの流れ
-システム選定時に重視した点は何でしょうか?
システムの選定にあたっては、導入コストや運用開始後のランニングコストに加え、導入後のサポート体制を重視しました。また、現場の担当者が無理なく運用できるよう、操作がシンプルで分かりやすいことも重要なポイントでした。(伊東様・本間様)
-最終的にAgathaを選定された理由は何でしょうか?
システム選定では、Agathaともう1社を比較検討しました。導入までのスピード、医療機関からの相談事項に柔軟に対応していただける点を高く評価し、最終的にAgathaを採用しました。担当の方が非常に丁寧にサポートしてくださったことで、安心して導入を進められると感じられた点も決め手となりました。(伊東様・本間様)
-導入プロジェクトを進める中で大変だったことがあれば教えてください。
■導入までの流れ
導入に向け、以下のようなスケジュールで進めました。
| 2022年10月 | アガサへ問い合わせ・院内予算申請の実施 |
| 2022年12月 | SOP作成に向けた情報収集・アガサ担当者との初回面談 |
| 2023年1月 | 正式発注 |
| 2023年3月 | Agatha操作開始・治験依頼者への導入連絡 |
| 2023年4月 | SOP・電磁化チェックリストの改訂・策定 ・治験審査委員会関連のSOPおよび補遺・運用手順 ・治験手続きの電磁化に関するSOP ・押印省略手順書 ・電磁的記録のチェックリスト ・IRB委員用のAgatha操作マニュアル・閲覧端末操作方法 ・治験費用規程の変更 IRBで電子化・運用方針の説明を実施 Agatha上でワークスペースの作成・試験情報登録 治験依頼者へのワークスペース案内・アカウント発行 |
| 2023年4月中旬 | 電磁的授受・保管の開始・AgathaでIRB事前資料の配布 |
| 2023年5月 | IRB審査にてペーパーレス運用を本格稼働・治験関連文書の電子化の実現 |
■導入にあたって苦労した点
特に苦労したのは、SOPや各種手順書の整備でした。また、治験事務局やIRB委員によるAgathaの操作習得に加え、操作に不慣れな委員からの問い合わせ対応や、資料の確認方法に関する周知など、運用開始に向けた準備は多岐にわたりました。そうした中、Agatha担当者様の丁寧な支援のもと、当院の運用実態に即した形でカスタマイズを行いながら、着実に導入を進めることができました。(伊東様・本間様)
Agatha導入の効果
-現在Agathaを利用している業務について教えてください。
当院では、治験関連業務全般においてAgathaを幅広く利用しています。
導入により、文書管理・審査手続き・資料配布などの業務が大幅に効率化され、時間と人的負担が大きく軽減されました。
■治験業務のペーパーレス化で作業負荷とコストを大幅削減
治験業務のペーパーレス化により、作業負荷とコストを大幅に削減できました。
導入前、IRB委員への資料配布では、紙資料を25組、初回審査では1,000ページ規模の資料を手作業で組み立てる必要があり、作業は丸1日かかることもありました。配送料や委員の持参負担も課題でしたが、電子配布によりこれらの物理的作業とコストが大幅に解消されました。
■文書管理と審査業務の標準化・効率化を実現
治験業務における文書管理と審査手続きの標準化・効率化が、Agatha導入によって大きく進みました。
導入前は、試験ごとに責任医師・院長保管分として紙文書のファイリングに多くの時間を要していましたが、Agathaにより文書管理の効率が大幅に改善しました。
IRB審査手続きでは、治験事務局担当者間で書式4・5作成の精度に差が生じており、また、書類の発送作業に時間を要していました。Agathaによって審査関連情報を一元管理できるようになり、書式作成や通知業務の標準化と効率化が実現しています。
公開用議事要旨の作成についても、導入前は作成に40分ほどかかっていましたが、Agathaに登録された情報をもとにExcelで自動出力できるようになり、作成時間は約10分まで短縮されました。
■リアルタイムな情報共有で対応スピードが向上
モニターとIRB審査資料等の資料授受の際は、電話で担当者とAgatha画面を見ながら確認できるため、疑問点や相談事項をその場で解決でき、送付書類の到着を待つ必要がなくなりました。
紙で保管していた精度管理記録等は、モニタリング時には膨大なファイルを準備する必要がありました。現在はAgatha内の共有スペース(Basic)を活用することで、精度管理記録をはじめ、SOPや各種手順書なども一元管理でき、必要な情報へ即座にアクセスできるようになりました。リアルタイムで共有できるようになったことで対応スピードが向上し、業務の正確性とスムーズな連携が実現しています。(本間様)
-予想外の導入効果などがあれば教えてください。
Agatha導入から1年後、治験関連文書の電磁的記録授受業務の効率化を図ることを目的として、モニターおよび治験依頼者を対象に電磁化に関するアンケート調査を実施しました。その結果、医療機関独自のファイルネーミングルールが、資料授受において双方の負担となったことが明らかとなりました。
この結果を受け、医療機関と治験依頼者の双方にとって業務効率化が図れるよう、より簡便なファイルネーミングルールへと見直しを行うことができました。
Agathaの導入をきっかけに、当院の運用を客観的に振り返り、改善へとつなげる機会となった点は、想定していなかった大きな収穫でした。(伊東様)
今後の展望
-Agathaの利用展開に関するお考えをぜひ教えてください。
今後は、Agathaの承認機能を活用し、運用の効率化と業務の標準化をさらに進めていきたいと考えています。(伊東様・本間様)




